過去10年間の治療実績を以下に示します。

総数     732例

  • 痔核 288例
  • 痔瘻 227例
  • 裂肛、狭窄 30例
  • 直腸脱 94例
  • その他 93例(うち腫瘍性 29例)

痔核手術

 一般に一人の手術においても複数の痔核を処置することが多く、それぞれの痔核に対して患者背景(年齢、主訴、仕事、入院期間、リスクなど)や全体のバランスを考慮しながら病変に対して結紮切除、結紮切除+ALTA注(ジオン注射®)、結紮切除+輪ゴム結紮、ALTA注(ジオン注射®)のみを術式選択しています。

裂肛および肛門狭窄手術

 軽度から中等度の狭窄は側方括約筋切開+デブリードメントを行い、高度の狭窄に対してはSSG(Sliding Skin Graft)法を施行しています。

痔瘻

 原発巣の位置、瘻管の走行、炎症の時期、程度で様々ですが、可及的に機能を温存し、開放術、瘻管切除、シートン法を使い分けています。肛門括約筋機能が低下した場合は、肛門内圧検査を行い、低下例では骨盤底筋訓練やバイオフィードバック療法を行っています。

直腸脱手術

 直腸脱に対しては大まかに脱出長5㎝で分けて、5㎝以下であれば基本的に経会陰アプローチで行い、主にGant-三輪+Thiersch法を選択していますが、一部では脱出長が1~2㎝であればPPH法やALTA注(ハイリスク例に限り)を選択することがあります。脱出長が5㎝以上であれば積極的に経腹的アプローチである腹腔鏡下直腸つり上げ固定術を行いますが、ハイリスク例ではやむを得ずAltemeier法を選択することがあります。術式選択の年次推移を以下に示します。

その他の手術

 フルニエ症候群 10例、膿皮症 10例、直腸瘤(直腸膣壁弛緩症) 6例、尖圭コンジローマ 4例、仙骨周囲のう胞 4例、毛巣洞 3例、粉瘤 5例、毛嚢炎 3例、異物 2例、テープ感染 2例、尿道―直腸ろう 1例、会陰膿瘍 1例、皮膚腫瘤 2例

腫瘍性疾患

良性 12例

 局所切除(経肛門切除含む) 8例    TEM 1例

悪性 17例

 肛門管癌 6例、Paget 4例、GIST 3例、外陰癌 2例、直腸癌 1例、皮ふ癌 1例