2017/03/27 更新   コラムのトピックス

一医師、一病院がすべての患者のすべての病気の診断と治療を完結することには無理があります。こんなことはヒポクラテスや華陀??の時代はともかく、とっくの昔から常識のはずですが、未だに現場ではしばしば誤解されています。中には、「患者を抱え込む医者がいる」と言う人があると思えば、他方では「あの医者は自信がないからすぐに患者をよそに回す」と非難する方までおられるのです。

良い開業医の大切な条件とは、一般医としての高い診断と治療の能力を持ち、その患者が自分のところで対応するのが最善ではないときはそのことを認識する知識と勇気を持ち、どの医療機関ないしは医師に紹介するのがベストかを判断するための多くの情報と疎通性を持っていることなのです。

ちょう外科医院の数野博先生がある新聞に載せられた論文に、「開業医が連携すれば、大病院にも負けない総合病院機能を持つことが出来ます。いや大病院と張り合うこともありません。病院をも仲間に取り込むことができたなら更に立派な連携が構築されます。」とありました。

大病院といえども、ベストの専門家をずらりと取り揃えることはできません。大病院同士、ときには大病院と小病院とが情報を交換し合い紹介し合うことで初めて、各専門医は自分の守備範囲で地域医療に最大の貢献が無駄なく果たす事ができるようになります。帝国主義よりも連合国の一員となり、国際連合の構築を目指すべきなのです。

また患者さんの“行き過ぎた大病院指向”も良い連携を目指すのに足枷となります。患者さんにも正しい患者学を身に付けて戴けるよう願っています。

その地域の医療レベルを高くするためには、開業医と勤務医、小さい医療機関と大病院という医療資源を効率よく使うようになることが必要で、それには医療側の良い連携と、患者さん側の理解が必要です。